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1:YG防衛軍 ★@\(^o^)/:2017/02/19(日) 18:30:50.81 ID:CAP_USER9.net
<誰とも話せる私の特殊な役割>

 今から約30年前、私は岡野さんと徹夜で話し込んだことがある。いや、一緒に徹夜で話をさせられた。臨教審(1985~87年 中曽根内閣)の合宿の時である。埼玉県の嵐山町の国立女性教育会館で真剣に議論が行われた。私は農水省から派遣された、いわば助っ人の事務局員、岡野さんはスポーツ界を代表する有識者として、スポーツと教育の関係を中心に見識を期待された委員だった。合宿は事務方も大変で、1日の審議のまとめ、中間報告を急がねばならなかった。もちろん中心はプロの文部省(当時)の出向者であり、助っ人の私の役割は意外なところにあった。夜一杯飲みながらの懇親会にお喋りで誰とも話せる(?)私の特技を使って、談論風発の岡野さんのお相手を務める羽目になった。そして、他の人たちがどんどん消えていく中、私と岡野さんだけが残り本当に徹夜のサッカー論議となった。

<私の意地悪質問にことごとく答えてくれた岡野委員>

 日本の企業が運動部出身を好む疑問等、教育と実社会の関係などの話は勿論、本番の審議会でも披露されていたが、座談のうまさと明確な分析はまさに一品であった。ただ、私にとって印象深かったのは、初めて聞くサッカーの薀蓄話であり、今も耳にこびりついている。といっても私が、日本でサッカーの人気がいま一つ盛り上がらない理由はなにか、ミュンヘン五輪で銅メダルをとっていたのに、その後ダメなのはどうしてか、日本にすっかり馴染んだ野球と違い、どうも日本の文化に合わないのではないか、といった結構きつい質問をしたこと対して、真剣に応えてくれたのである。

その岡野語録の一端を紹介したい
<メキシコオリンピック銅メダルは天才杉山、釜本の成せる技>

(1)世界の大半の国では、サッカーが1番人気のあるスポーツだ。ボール一つででき、金がかからないからだ。サッカー以外が人気のスポーツの国は、1.アメリカ、2.日本、3.キューバが野球、4.インド、5.パキスタン、6.バングラデシュがホッケー、7.カナダがアイスホッケー、8.フランスの自転車・・・岡野さんは丁寧に解説してくれたが、残念ながらすべては覚えていない。たぶんクリケットのイギリスやオーストラリア等であるが、11カ国だけは確かである。

(2)メキシコオリンピック(1968年)の銅メダルはまさに奇跡だったが、二人のエース杉山 隆一と釜本邦茂は本当に天才だった。あれだけの選手はそうざらには出ないだろう。奥寺康彦がドイツのプロのリーグにいるがとても及ばない。日本のレベルでよく銅メダルが取れたと思うが、個人プレーが幅を利かすサッカーで、偶然二人の天才がいたからだ。今後もあれだけの選手はなかなかでないだろう。

<日本人の性格に緊張感溢れるサッカーは不向き>

(3)日本人は個人ではいま一つだが、結束力が強く団結すると力を発揮するといわれる。サッカーは典型的な団体競技だが、どうも日本人の協調性が勝利に直結しない。それは全体の流れを見る眼が養われていないからではないか。つまり、ゲーム全体を俯瞰的に見ることができる者が少ないからだ。釜本はシュート力だけでなく、ゲーム運びもできた。つまり、農耕定着民族で、1ヶ所でドンと腰を据えて仕事をすることが得意だが、狩猟民族のように眼をあちこちに向けて物事を考えることは苦手なため、サッカーのようにグランド一面を見渡して動き回ることがあまりよくできない。
(4)日本人はサッカーの観客にあまりむいていない。相撲があるが、制限時間いっぱいまでは升席でお喋りして酒を飲んでいられる。緊張して見るのはほんの一瞬である。野球も外野席では芝生に寝転がってビールを飲みながら見ていて、クリーンアップトリオが打席に入る時とか、満塁などの好機しか気を張って見ていない。それに対しサッカーはずっと見ていないと、一瞬のうちにゴールが決まる。日本人にはずっと緊張してゲームを見る忍耐力がない。だから、サッカーをずっと見続けるという観客が増えない。そのため、サッカーがプロのリーグを造っても観客数は伸びず、やっていけないのではないか。
【【サッカー】故岡野俊一郎氏の嬉しい誤算 「今やプロ野球と肩を並べるJリーグ」 -日本人に本当にサッカーは根付くのか-】の続きを読む